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写真:ジム・メリシュー/Cult of Mac
あまり意外ではないかもしれないが、サンバーナーディーノ銃撃事件の犯人のiPhoneのハッキングにAppleが協力すべきかどうかをめぐる論争で、残りの共和党大統領候補5人全員がAppleではなくFBIの側に立っており、これは将来のユーザーセキュリティに関する前例となる可能性がある。
スーパーチューズデー前の昨日の共和党大統領予備選最後の討論会で、2016年最大のテクノロジーニュースの一つになりつつあるこのホットな話題について質問された候補者たちは、米国の公共の安全のためにアップルはこの問題から撤退すべきだと主張した。
「アップルは自社ブランドに傷がつくと考えているため、これを望んでいない」とマルコ・ルビオ氏は述べた。「はっきり言って、アップルのブランドはアメリカ合衆国の国家安全保障よりも優れているわけではない」。興味深いことに、ルビオ氏は以前はこれを「非常に複雑な問題」と呼んでいたが、今ではアップルの要求内容について誤解を招いたと主張している。
一方、テッド・クルーズ上院議員は、アップルが製造するすべてのスマートフォンにバックドアを設置するというより広範な命令には従う必要はないという点には同意するが、「テロリストの携帯電話のロックを解除するという問題に関しては、裁判所命令を執行し、サンバーナーディーノのテロリストが電話、テキスト、メールで話した相手全員を突き止めるべきだ」と主張した。
ジョン・ケーシック氏はこの機会を利用してオバマ大統領を攻撃し、「アメリカ合衆国大統領はアップル社と我々の治安部隊との会合を開くべきだった。大統領になったら何をするか分かるだろう?ドアに鍵をかけ、治安部隊に必要な物資を提供し、かつアメリカ国民の権利を守る合意に達するまで出てこないと言うのだ」と述べた。
ベン・カーソン氏は、「テロリストが罪を逃れることを許すのはアメリカにとって悪いことだ。アップルには裁判所命令に従うことを期待する。もし従わなければ、私たちのシステムに混乱を招いていることになる」と述べた。
ドナルド・トランプ氏は、最初から自身の立場をついに明確にしてきた。アップルが連邦政府の要求に屈服しない場合はサムスンの携帯電話に永久に切り替えると脅し、支持者にも同じことをするように呼びかけている。
Appleは譲歩するつもりはない。昨日、Appleは、現在論争の中心となっているiPhone 5cのロック解除を求める裁判所命令を却下するよう、正式に裁判官に要請した。65ページに及ぶ文書の中で、Appleはこれまでこの訴訟にどの程度協力してきたかを明らかにしているが、iPhoneのハッキングに加担することは違法となる可能性を示唆している。
問題は、最終的に、これが将来のiPhoneの盗聴やハッキングの堰を切ることになるかどうかに帰着する。ビル・ゲイツ氏などはそうではないと示唆しているが、FBI長官ジェームズ・コミー氏でさえこの問題について明確な見解を示していない。今週、コミー氏は議会委員会でiPhoneのハッキングを擁護し、これは孤立した一回限りの事例だと述べた。しかし同時に、この判決は将来「他の裁判所にとって教訓となるだろう」とも認めた。
司法省がすでに、米国各地でさらに12件の訴訟でiPhoneデータの抜き取りにAppleに協力するよう求める裁判所命令を出す準備をしているのは不思議ではない。ちなみに、そのどれもがテロとは関係のないものだ。
出典: ヤフー